連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ③ 何処より流れ来し、鬼胡桃

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何処より流れ来し、鬼胡桃


家より程近い荒川下流河川敷にクルミの仲間のオニグルミがある。
今年も花が咲いていたので実が生るだろう。
 一般的に食用として市販されているのはカシグルミ(菓子胡桃)だが、オニグルミの実(実際は種子)は堅く小さいのでスーパーなどでは売られていない。
しかし、味は美味しくカシグルミと遜色はない。
 オニグルミに初めて出会ったのは30数年前の冬中軽井沢へ鳥見に行った時のことだった。
その木は、湯川にかかる小さな橋の袂にあった。直径50cmはある大きな木だった。
木の下には数個の泥にまみれたクルミの実が落ちていたので、クルミの木といううことはすぐに分ったが、オニグルミという名は通りかかった地元の方に教えてもらった。
「そうだ、1個食べてみよう」と川で洗い、石で割ってみると、中は美しい色だったので口の中へ入れた。とても美味しかった記憶がある。
 味もさることながら、葉が落ちた後の葉痕が「ヒツジの顔」に見えたので、この木の事は深く脳裏に焼きついた。
 16年程前、荒川の上流に位置する長瀞で行った感察会、ここでもオニグルミを感察する事が出来た。
 木の根元を見るとたくさんの実(種子)が落ちていた。割れて半分になったり、穴が開いた中身がなくなったものは、リスやノネズミが食べた跡である。何個かは冬のために貯食しただろう。
そして食べられなかったものは発芽するだろう。
 こうしてオニグルミは子孫である種子を広く遠くへ運んでもらうのである。
しかし、種子が遠くへ運ばれる方法はそれだけではない。種子は堅い殻で守られ水に浮く。
川に落ちれば流されて行くだろう。
 マイフィールドの荒川下流河川敷のオニグルミは、こうして流れ着いたのであろう。
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by hitakijo | 2015-07-04 08:47 | エッセイ | Comments(0)
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