#連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑯ 木々の妖精【冬芽・葉痕】

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シロモジ=白文字(クスノキ科)


木々の妖精【冬芽・葉痕】


昨年は、公園のトチノキの黄葉が特に美しかった。
しかし、日が経っにつれ黄色が褐色に変わり、やがて落葉した。
全ての木は「古くなった葉を落とす。
しかし、生きていた証を枝に残すのである。
これを「葉痕」という。葉が枝についていた痕跡が「葉痕」である。
「葉痕・冬芽」は花が少ない真冬の植物感察にうってつけ。
その葉痕の上側には春先に芽吹く冬芽がついている。
葉痕の中には枝と葉との間でやりとりした水や養分が通った痕の維管束痕がついている。
維管束痕の数は木によってまちまちである。
葉痕の形も何種類科の系統があるが、
おにぎりを逆さまにした形の中に3個の維管束痕がある葉痕が特に人気がある。
葉痕内の地色より目立つ維管束痕が、
葉痕内の上部の左右に1個ずつ下部の中央に1個の配列が目鼻に見えるのである。
動物や人形などいろいろな顔に見えるのである。何に見えるかは、人それぞれである。
この事が人気の秘密かなと思ったりもする。
とは言っても、小ものは肉眼では分かりづらいので、
おすすめは大きい葉(葉柄の基部の太いもの)のをつける木。
全ての木に葉痕はついているが、常緑樹のものは大体小さいので
葉痕と冬芽とのコラボレーションで木々の表情を楽しむのである。
春を待つ木々はどれも表情豊かで見飽きる事がない。
私はこれらに「木々の妖精たち」と名付けて楽しんでいる。
現在までに300種ほどをカメラに収めた。(これらはブログで公開している)
葉痕の上側についている春の芽吹きを待つ冬芽の感察は、
心が浮き浮きするだけではなく、識別にも役立つのである。
とても良く似た同じクワ科のコウゾとヤマグワ。
コウゾの冬芽がおにぎり型で鱗片が左右1枚ずつ。
ヤマグワは卵型で鱗片が5-6枚ついている。
温かくして、春を待つ木々の妖精たちに会いに出かけませんか。
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by hitakijo | 2017-01-07 20:37 | エッセイ | Comments(0)
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