2017年 03月 20日 ( 2 )

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑰【ある植木鉢の物語 2】 #エッセイ 

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ヒゴスミレ


【ある植木鉢の物語 2】


我が家には、もうひとつ変わった経歴を持った植木鉢がある。
大きさが直径25cm、高さが11cmの素焼きの植木鉢である。
 20数年前の3月、妻の知人宅へ届け物を頼まれた。私にとっては初対面の方であるから、
玄関先でお渡ししたら直に帰るつもりだったが、
「わざわざお越しくださってのですから」と無理矢理客室に通された。
 この方は、山野草栽培や盆栽が趣味らしく、庭の地面や棚の上には沢山の鉢が並んでいた。
社交辞令で「素晴らしいですね」と褒めたら庭へ案内された。
 鉢に植えられた野草は好きではないのだが、お世辞で「きれいですね。いいですね。」を
連発したら、ひとつの鉢を手に取って「お荷物にいたなりますがお持ちください。」と
言って、またもや無理矢理に待たせれてしまった。
 素焼きの鉢に植わっていたのは2株のエビネだった。
エビネは日本の蘭で、栽培家の間では人気があるそうだ。
 鉢のエビネは4月になると花が咲いた。美しいとは感じたが、自生地で見た時の感動はなかった。
 5月になると花は枯れ、大きな葉だけになったが、土が乾いたら水だけはやっていた。
夏になり、葉がみすぼらしくなったので取除いた。
 翌年も花が咲いた。そして、同じように葉を取除いた。
 次の年には1株しか咲かなかった。同じように葉を取ってしまった。
 次の年には残っていた株も咲かなかった。
 後に偶然分かったのだが、葉はそのままにしていかないと咲かなくなってしまうのだった。
もう後の祭りであるが、土が乾いたら水だけはやり続けた。 
 すると、翌年に葉に特徴がある「ヒゴスミレ」が顔お出し、純白の花を咲かせた。
エビネが枯れ、埋没して種子が目覚めたのだろう。
 その子孫が生き続け、今年も蕾をつけている。
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by hitakijo | 2017-03-20 09:32 | エッセイ | Comments(0)

『ジョウビタキ』

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ジョウビタキ ♀ 1997.3.6 柳原千草園

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by hitakijo | 2017-03-20 06:56 | 柳原千草園にて | Comments(0)