カテゴリ:エッセイ( 17 )

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑰【ある植木鉢の物語 2】 ヒゴスミレ

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ヒゴスミレ


【ある植木鉢の物語 2】


我が家には、もうひとつ変わった経歴を持った植木鉢がある。
大きさが直径25cm、高さが11cmの素焼きの植木鉢である。
 20数年前の3月、妻の知人宅へ届け物を頼まれた。私にとっては初対面の方であるから、
玄関先でお渡ししたら直に帰るつもりだったが、
「わざわざお越しくださってのですから」と無理矢理客室に通された。
 この方は、山野草栽培や盆栽が趣味らしく、庭の地面や棚の上には沢山の鉢が並んでいた。
社交辞令で「素晴らしいですね」と褒めたら庭へ案内された。
 鉢に植えられた野草は好きではないのだが、お世辞で「きれいですね。いいですね。」を
連発したら、ひとつの鉢を手に取って「お荷物にいたなりますがお持ちください。」と
言って、またもや無理矢理に待たせれてしまった。
 素焼きの鉢に植わっていたのは2株のエビネだった。
エビネは日本の蘭で、栽培家の間では人気があるそうだ。
 鉢のエビネは4月になると花が咲いた。美しいとは感じたが、自生地で見た時の感動はなかった。
 5月になると花は枯れ、大きな葉だけになったが、土が乾いたら水だけはやっていた。
夏になり、葉がみすぼらしくなったので取除いた。
 翌年も花が咲いた。そして、同じように葉を取除いた。
 次の年には1株しか咲かなかった。同じように葉を取ってしまった。
 次の年には残っていた株も咲かなかった。
 後に偶然分かったのだが、葉はそのままにしていかないと咲かなくなってしまうのだった。
もう後の祭りであるが、土が乾いたら水だけはやり続けた。 
 すると、翌年に葉に特徴がある「ヒゴスミレ」が顔お出し、純白の花を咲かせた。
エビネが枯れ、埋没して種子が目覚めたのだろう。
 その子孫が生き続け、今年も蕾をつけている。
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by hitakijo | 2017-03-20 09:32 | エッセイ | Comments(0)

#連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑯ 木々の妖精【冬芽・葉痕】

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シロモジ=白文字(クスノキ科)


木々の妖精【冬芽・葉痕】


昨年は、公園のトチノキの黄葉が特に美しかった。
しかし、日が経っにつれ黄色が褐色に変わり、やがて落葉した。
全ての木は「古くなった葉を落とす。
しかし、生きていた証を枝に残すのである。
これを「葉痕」という。葉が枝についていた痕跡が「葉痕」である。
「葉痕・冬芽」は花が少ない真冬の植物感察にうってつけ。
その葉痕の上側には春先に芽吹く冬芽がついている。
葉痕の中には枝と葉との間でやりとりした水や養分が通った痕の維管束痕がついている。
維管束痕の数は木によってまちまちである。
葉痕の形も何種類科の系統があるが、
おにぎりを逆さまにした形の中に3個の維管束痕がある葉痕が特に人気がある。
葉痕内の地色より目立つ維管束痕が、
葉痕内の上部の左右に1個ずつ下部の中央に1個の配列が目鼻に見えるのである。
動物や人形などいろいろな顔に見えるのである。何に見えるかは、人それぞれである。
この事が人気の秘密かなと思ったりもする。
とは言っても、小ものは肉眼では分かりづらいので、
おすすめは大きい葉(葉柄の基部の太いもの)のをつける木。
全ての木に葉痕はついているが、常緑樹のものは大体小さいので
葉痕と冬芽とのコラボレーションで木々の表情を楽しむのである。
春を待つ木々はどれも表情豊かで見飽きる事がない。
私はこれらに「木々の妖精たち」と名付けて楽しんでいる。
現在までに300種ほどをカメラに収めた。(これらはブログで公開している)
葉痕の上側についている春の芽吹きを待つ冬芽の感察は、
心が浮き浮きするだけではなく、識別にも役立つのである。
とても良く似た同じクワ科のコウゾとヤマグワ。
コウゾの冬芽がおにぎり型で鱗片が左右1枚ずつ。
ヤマグワは卵型で鱗片が5-6枚ついている。
温かくして、春を待つ木々の妖精たちに会いに出かけませんか。
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by hitakijo | 2017-01-07 20:37 | エッセイ | Comments(0)

#連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑮【ケヤキに頬ずり】

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ケヤキ (ニレ科) の 果実



【ケヤキに頬ずり】
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by hitakijo | 2016-12-01 15:19 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑭ 【大豆の原種 ツルマメ】

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ツルマメ (マメ科ダイズ属)


【大豆の原種】 ツルマメ

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by hitakijo | 2016-10-20 08:38 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑬ 【石けんのなる木 サイカチ】

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サイカチ (マメ科)


【石けんのなる木 サイカチ】

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by hitakijo | 2016-09-11 07:32 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑫ 【初出会いはアラスカ】 ヤナギラン

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ヤナギラン (アカバナ科)


【初出会いはアラスカ】ヤナギラン

鳥に夢中だったころに出会った花がある。しかも初出会いは外国のアラスカだった。
もちろん日本にも自生している花であるが、当時はその存在すら知らなかった。

1972年7月、あるツアーでアラスカへ行った。1ドル300円の時代で、しかもドル持ち出しに制限があった。しかし、私は鳥見が目的でったので、3万円をドルに替えて持って行った。
1972.7.15羽田を出発。日付変更線通過のため前日の14日の午後11時にアンカレッジ到着。白夜のためまだ明るかった。宿泊は昭和天皇がお泊まりになった事のあるウエストワードホテル。翌日9時グレンハイウェイを通りバルディーズへ。途中の平原でバスを降りる。そこには熊の酔うに大きな現地のガイドが我々一行を待っていた。全員が降りたところで、苔の生えたところへ案内され、ガイドの説明が始まった。その説明を現地スタッフの日本女性が通訳してくれた。その苔は1ミリ成長するのに数年掛かるのだそうだ。苔の生えた地面の下1mのところには永久凍土があるのだったという。そのあといろいろな花の説明があったが、通訳してくれる女性は植物の専門家ではなく旅の添乗員なので、英名をカタカナに直しただけだったので良く分からなかった。ガイドの説明が終わった後、小高くなったところで全員で記念写真を撮った。見晴らしが良かったので、後方に目をやると遠くに赤い花がたくさん咲いた背の高い野草があった。ガイドに直接聞いた。「Fireweed(ファイアウィード)」と言う返事が耳に強く残った。帰国後調べると、山火事の後、真っ先に生えてくるのが名の由来だった。日本にも自生し、標準和名がヤナギランということを初めて知った。
2000年7月、練馬区の子供たち40名ほどと巣栗渓谷(長野県)へ宿泊感察会になった。初めての場所だったので区の職員と私ともう一人の講師s氏は一足先に乗用車で出発。武石川沿いの道を歩いて下見。途中に番所ヶ原スキー場があった。そのゲレンデにピンクの花が咲いていた。ヤナギランだった。日本での初出会いだった。
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by hitakijo | 2016-07-01 08:04 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑪【なんじゃもんじゃの木】

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ヒトツバタゴ(モクセイカ科)


【なんじゃもんじゃの木】ヒトツバタゴ


昔は木の種類に関わらず、その地方に珍しい正体不明の立派な木を「なんじゃもんじゃの木」と呼んでいたそうである。
クスノキ、アブラチャン、カツラ、ニレ、ボダイジュ、イヌザクラなどが、そう呼ばれていが、
現在ではモクセイ科の「ヒトツバタゴ」の木を指すことが多い。
1993年4月、墨田区広報課からヒトツバタゴのイラストを依頼されたので図書館へ調べにいったので、
これらの事はヒトツバタゴの現物に出会う以前から知識として知っていた。
1997年5月16日、柳原千草園(足立区)へ行った。小さな門を潜り何時ものように左の道へ進むと、前方右側に真っ白な満開の花が目に入った。そばへ近寄って、最初に花を感察した。細い花冠が深く4裂した合弁花だった。葉は単葉で対生していた。図鑑で見知っていたのですぐに分かった。これが「ヒトツバタゴ」との初出会いである。
2年後の5月、花が見たくなり柳原千草園へ。しかし、ヒトツバタゴの木は跡形もなく無くなっていた。傷んだ様子はなかったが。
2002年5月12日、知人がやっていた観察会の助っ人として明治神宮へ。私は主に植物の解説を頼まれた。
北池に架かる橋を渡ると右手斜め前方に白い花の塊が目に入った。参道から離れた奥にあるので双眼鏡で確かめた。ヒトツバタゴの花だった。「ナンジャモンジャノキ」大声をだす。参加者が周りに集まったところで鳥見用の望遠鏡に入れてもらって、参加者に解説しながら見てもらった。しかし、時間がかかり過ぎたので休憩地は早足で行った
2015年2月、鳥見に行った荒川自然公園は樹種が多そうだったので、6月13日には木々の若い果実の感察したくなり行ってみた。エノキとコノテガシワの果実を感察後しばらく歩いて行くとヒトツバタゴがあった。葉陰を丹念に探すと若い果実が三個生っていた
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by hitakijo | 2016-06-07 08:41 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑩ 【思い出が、またひとつ増えた】 ハコベ 

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【思い出が、またひとつ増えた】ハコベ


①半世紀以上昔のことである。小学六年生の頃メジロを飼った事がある。現在では、許可なく野鳥を飼う事は出来ない。
 鳥もちをつけた竹竿を藪椿の花の側へ置いておく。
蜜を吸いに来たところで鳥もちにかかるのである。
飼育する竹籠も自分で作った。餌は「ハコベ」と「サツマイモ」である。
蒸かしてもらったサツマイモをすり鉢で繊維がなくなるまですりつぶす。
そこへ洗ったハコベを入れ、さらにすりこぎを回し続ける。
するときれいな黄緑色のペースト状の練り餌が出来上がる。
 これを毎日与えるのである。もちろん、その日その日に新しいハコべを摘んできた。
なぜか名前を知っていた、これがハコベとの初出会いである。

②1994年3月12日 練馬区石神井児童館の子供達数十名と「春の道草を食べよう」という講座で、
埼玉県の吾妻峡へ行った。
私の解説を聞きながら植物感察、その中から食べられる野草の採集と洗う作業は子供達の役目。
調理は児童館の職員の方達が担当。
いろいろな野草は天ぷらに、春の七草のひとつハコベはおひたしにし、マヨネーズで食べる事に。
 野菜嫌いと言われている子供達だったが、自分たちで採った事が嬉しかったのか、
みんな、驚くほど食べまくった。ハコベは特に評判が良かった

③昨年入院した。十日間は寝たきりだったが、体につけられている全てのチューブが取れたので歩き始める。廊下を何往復も歩いた。次の日もあるいた。
しかし、窓がないので外の空気が吸いたくなった。
屋上に行けるか尋ねると、屋上はないが1階の玄関へ行けば外の空気が吸えると。
早速1階へ下り玄関のドアの前に立つ。自動ドアが開く、冷気が鼻をくすぐる、思わず深呼吸。
前方に黄葉した銀杏の街路樹があった。無意識に銀杏の側へ飛び出していた。
「ハコベ」があった。一茎採って持ち帰り、
切り口にテッシュペーパーを巻き、水で湿し、ベッド脇の棚に飾った。
このハコベは退院時に家に持ち帰ってきた。
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by hitakijo | 2016-04-02 12:05 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑨ ある植木鉢の物語

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センリョウ (センリョウ科)


【ある植木鉢の物語】


我が家には直径30cmの大きな植木鉢がある。
この鉢は今の住いに引っ越してきた30年以上前の春に妻の知人が持ってきてくださったものである。
 確か、園芸種が咲いていたと思うが、園芸種にはあまり興味がないので
何が植っていたのか覚えていない。そこで妻に聞くとペチュニアが植っていたそうである。
 妻は鉢植えを買ったり貰ったりするが、面倒を見るのは私である。面倒を見るといっても
ただ水をやるだけのことだが、とにかく私まかせなのである。
 ペチュニアは秋まで咲いていたが冬には枯れてしまった。そして、ペチュニアを支えていた緑色の支柱だけが残った。
しかし、土が乾いたら水だけはやり続けた。
 次の春が来たが、1年草だったのかペチュニアの芽吹きはなかった。
だが、替わって支柱から芽が出ていたのでとても驚いた。
 人工の支柱とばかり思っていたが、それはヤマブキの枝だったのである。
ヤマブキは挿木で簡単にふやせるそうで、支柱変じて挿木になっていたのである。
 このヤマブキは成長が早く5月初めに数個の花が咲いた。そして毎年春になると山吹色が楽しめるようになった。
それが10年ほど続いたが、水やりだけで植替えなどはしなかったので枯れてしまった。
 それから数年経っただろうか。ある日、見られない木の葉が芽吹いた。その木は秋には20cmほどの高さになった。
それは「センリョウ(千両)」だった。
 翌年、花が咲き、秋には真っ赤な実が数個ほど生った。
 ある日、廊下の方からヒヨドリの声がするので、玄関横の部屋からそーっと覗くと、熟した実をヒヨドリがついばんでいた。
 このセンリョウは、おそらくヒヨドリの糞から芽生えてきたに違いない。
来年もヒヨドリが実を食べにやって来ることだろう。
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by hitakijo | 2016-03-27 16:11 | エッセイ | Comments(0)

連載エッセイ [自然感察者のひとりごと] ⑧ 鳥の名を冠した野草たち

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スズメノヤリ (イグサ科)


【鳥の名を冠した野草たち】


長年の植物感察で多くの植物名を覚えた。その中で特に興味を引くのが「鳥の名を冠した植物」である。
今回はその中の幾つかを紹介しよう。
 最初はやはり雀である。
雀の帷子=スズメノカタビラ(イネ科)は、小さいを意味する雀と、小さな小穂を帷子(着物)に見立て、
それを合わせた命名である。この野草は道端などにも生え、ほぼ1年中見る事が出来る。
頴果はスズメの冬の重要な食料である。
 雀の槍=スズメノヤリ(イグサ科)は花穂の様子を大名行列の毛槍(けやり)に見立てての命名だという。
スズメノヤリの種子にはアリの好むエライオソームという附属物がついている。
種子をアリに遠くに運んでもらうアリ散布型植物のひとつてある。
 雀野豌豆=スズメノエンドウは種子(豆)が2個入った莢の長さが8ミリほどの豆果が生るマメ科植物。
 雀瓜=スズメウリは、直径1.5cmほどの球形の果実が生るウリ科植物である。
果実は熟すと灰白色になる。雀を冠した植物は他にもあるが、ここらで別の鳥を。
 燕万年青=ツバメオモトは、花被片の長さが1.5cmほどの白い花を5月頃から咲かせるユリ科の植物である。
熟すと濃藍色で大きさ1cmほどの果実が生る。毎年環境教育の手伝いで行く上高地で初めて出会った。
 鶯神楽=ウグイスカグラはスイカズラ科の樹木である。
初めて出会ったのは1981年3月15日、鳥見に行った明治神宮御苑である。
すでに花が数輪咲いていた。後年練馬区の子供達と行った浅間山麓で自生のものに出会う。
 紙面の都合で名前だけ、鵯上戸=ヒヨドリジョウゴ(ナス科)、烏野豌豆=カラスノエンドウ=(マメ科)
朱鷺草=トキソウ(ラン科)鴎菊=カモメギク)雉蓆=キジムシロ(バラ科)大鷺草=ダイサギソウ(ラン科)
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by hitakijo | 2016-03-27 12:55 | エッセイ | Comments(0)