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連載 #エッセイ [自然感察者のひとりごと] 19【私の植物感察会の原点・ナズナ】

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ナズナ


【私の植物感察会の原点・ナズナ】


 初詣に行った帰り、公園の石垣の隙間に小さなナズナが生えているのに気付いた。
地上から30cmほどの高さのところである。風で飛ばされた種子がうまい具合いに
隙間に入り込んで芽生えたのだろう。
 ナズナは春の七草のひとつであるから、お正月のスーパーマーケットで簡単に手に入るので、
多くの人が七草粥にして食べているだろう。
 しかし、身近な野草であるはずのナズナの野外での姿を見たことがないという人が多くて、
早春の感察会の度に驚かされる。
その度に、都会の身近な野草に感心を持つ人が増えて欲しいと思うのである。
 ナズナは菜の花と同じアブラナ科の越年草で、緑の葉の状態で冬を越す。
花期は早春から初夏にかけてであるが、最近では場所によっては、
ほぼ通年花を咲かせている個体を見かける。地球温暖化が影響しているのだろうか。
 これまでに数多くの野草を感察してきたが、ナズナは私にとっては特別な植物である。
 娘が小学4年生の時だったと思うが、こんな出来事があった。
遊びに来ていたお友達とおやつを食べながら何か、花の話をしていた。
その話が仕切りのない隣の部屋で絵を描いていた私の耳にも入ってきた。
そこで、私も一緒におやつを食べながら、何とはなしに「ナズナって知ってる?」と聞いてみた。
すると、二人は口を揃えて「アブラナ科で、花弁が4枚の十字花で、
おしべが6本、めしべが1本」とすらすらと答えたのである。
 (後で分かったのだが,理科の教科書にアブラナ科の花のつくりが詳細に図解されていた)
 すかさず、「生えているところ見たことある?」『ない』の返事。とてもショックだった。
 これを切っ掛けに、蔑ろにされがちな都会の野草の大切さを知って欲しいという思いで、
植物感察会も始めるようになったのである。
by hitakijo | 2018-03-12 20:46 | Comments(0)
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